胃ガンのリスク・ファクター検診のお奨め
2012/10/24
いま、当院では来院患者さんに、できる限りABC検診をお奨めしています。
その理由は、「胃ガンのリスク・ファクター検診」の別称の通り、今後10年間に胃癌にかかる可能性がわかる、そしてそれに合わせた検査の必要性がわかる、そしてリスクが高い人は、お薬を飲むことによってそのリスクを下げることができるからです。
ウェブサイトでもトップにバナーを入れていますが、今回はもう少し詳しく、内容をご説明しましょう。
胃カメラやバリウムを飲む前に、血液検査で、今後10年の間に胃ガンにかかる可能性を高精度で予測することが出来るようになりました。 これは、「ピロリ菌抗体検査」と「ペプシノゲン検査」を組み合わせて、胃ガン危険度を診断し、効率的に精密検査を勧奨する検診で『ABC検診』と呼ばれています。
☆自分の胃ガン危険度を自覚できる優れた方法と言っていいでしょう。
ビロリ菌は、胃潰瘍、胃ガン発症の主役。といわれておりビロリ菌感 染により慢性胃炎→委縮性胃炎→腸上皮化生→胃ガンという、メインルートが作られるのです(HP抗体法)。
また、血液中のペプシノゲン濃度を測ることによって、胃粘膜の萎縮度を調べることができます。萎縮が進んだ胃の粘膜からは胃がんが発生しやすいのです(PG法)。
ABC検診は採血のみでピロリ菌感染の有無と委縮性胃炎を判定し、あなたの胃癌発症の危険度を判定します。これらから、上記二つの検査の組み合わせで、
HP(ー)&PG(ー)を A群
HP(+)&PG(ー)を B群
HP(+)&PG(+)を C群
HP(ー)&PG(+)を D群 とします。
各群の最適な検診間隔は、
A 群で 5 年、
B 群で 3 年、
C 群で 2 年、
D 群で 1 年 が妥当とし、その検診方法としては内視鏡検査(胃カメラ)が最も適しています。C群とD群が「逆」に思えるでしょうが、ここがミソです。
各群の胃癌発生率は……
1.A群 Hp(-)、PG(-):0%
2.B群 Hp(+)、PG(-):年間1000人に1人
3.C群 Hp(+)、PG(+):年間 400人に1人
4.D群 Hp(-)、PG(+):年間 80人に1人 ……とされています。
それぞれを詳しく説明しますと、
A群: 胃は正常、胃癌発症の可能性は極めて低い。
B群: 胃癌発症のリスクあり。胃潰瘍にも注意。最低 3年に1回の胃内視鏡が必要。
C群: 胃癌発症のリスク高い。最低2年に1 回の胃内視鏡が必要。
D群: 胃癌発症のリスク極めて高い。毎年胃内視鏡が必要。
ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)とは?……
幼少時に人に感染し、 胃に住みつき、慢性胃炎を引き起こします。胃癌、委縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、リンパ腫、血小板減少性紫斑病など様々な病気の引き金になることが近年分かってきました。
ペプシノゲンとは?……
胃の消化酵素の前駆体で、ペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡに大別されます。この両者を測定することで簡便に委縮性胃炎を診断出来ます。委縮性胃炎ではⅠの低下とⅠ/Ⅱの比の低下が認められます。
検診方法は?
・簡単な問診と採血のみです。
・当院では診察時間内なら、いつでも『ABC検診』をうけられます。
費用は「問診→採血→約10日後に検査結果の説明」全て含めて、 ¥7,350-です。
食事、時間帯などの制約はありませんので、いつでも採血検査を受けて頂けます。