医療法人社団 甲南回生
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妊娠糖尿病

妊娠糖尿病

2016/08/20

先日、私が姪っ子のように可愛がっている親戚の女の子(と言っても、もう結婚して1年を過ぎますが)が妊娠糖尿病と診断されました。本人もムコ殿も、私のイトコにあたる両親も皆が心配して私に相談に来るので、文章にまとめて親戚一同にメールしました。せっかくなので、今回はみなさんあまり聞き慣れないと思いますが、妊娠糖尿病についてお話ししましょう。
 
妊娠糖尿病とは、妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種で、妊娠中に初めて発見・発症したもので、糖尿病には至らない軽度のものを指します。妊娠中に発覚した糖代謝異常が重度の場合は「妊娠中に診断された明らかな糖尿病」として区別されます。また、妊娠前に糖尿病と診断されていた人が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。発症率は「12%」で、これは「よくあること」の範疇です。ほとんどの場合、産後には元通りになりますが、産後に糖尿病を発症しやすくなるといわれているので注意は必要です。
 
お腹の赤ちゃんはブドウ糖をエネルギーにして成長するので、妊娠すると母体は赤ちゃんにブドウ糖を優先的に供給するように変化します。ブドウ糖は膵臓から分泌されるインスリンが働いて、細胞に取り込まれてエネルギーに変わりますが、妊娠すると胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌され、母親側ではブドウ糖は取り込まれにくくなります。その分が赤ちゃんの身体に流れて、赤ちゃんのエネルギーとなります。
 
妊娠中の母体は血液中のブドウ糖が分解されにくくなるので、そのときに甘いものをたくさん食べると、分解されずに血液中に残ったブドウ糖が増えるので、糖尿病のように見えるのです。「妊娠中に診断された明らかな糖尿病」や「糖尿病合併妊娠」でない限り、妊娠糖尿病は、胎盤から分泌されるインスリンを抑えるホルモンが影響しているので、ほとんどの場合、出産後に胎盤が排出されると自然治癒します。
 
しかし、母体や胎児に悪影響を及ぼすことはあり得ます。悪化すると、妊娠高血圧症候群や、流産・早産を引き起こしやすくなったり、胎児発育不全や胎児機能不全を起こす可能性が高まります。また、赤ちゃんが大きくなり過ぎて難産になったり、出生後に新生児低血糖を引き起こすリスクもあるので治療はしておく必要があります。
 
治療は食事療法と運動療法です。例えば…。
☆食事療法
  1. 糖分を減らし、栄養バランスのよい食事を心がける。
  2. ご飯やパン類、穀物類など、糖質に変わる炭水化物の摂取量を抑える。
  3. 決められた1日の摂取カロリーを守る。
  4. スポーツ飲料などの飲み物や果物も取り過ぎないようにする。
☆運動療法
  1. 食後に30分程度のウォーキングをする。
  2. マタニティヨガ、マタニティビクス、マタニティスイミングなど妊婦さん向けの運動。
食事や運動で改善が見られなければ、インスリンの自己注射をする場合もあります。通院での治療が一般的ですが、血糖値が基準を大きく超えるときは、数日~1週間程度の管理入院が必要になることもあります。ただし、このように重症化することはごく稀なので、できれば糖尿病の専門医と産科の先生が常駐しておられる病院でしっかり調べてもらったら、あとはご自宅で食事療法で頑張れると思います。
 
このブログをお読みの方は、どちらかと言えば、もう出産まで経験された方のほうが多いと思いますが、妊娠したら一割強の確率で発症する合併症ですので、知識として知っておいても損はないと思いましたので、今回は公私混同させて頂きました。手抜きかな?

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