花粉症・アレルギー性鼻炎
2012/03/22
2012年の花粉飛散量は、例年の2~3倍と予想されています。兵庫県では、2012年のスギ花粉飛散開始は2月10日前後であったことは、前回のドクターズボイスでお知らせしました。
花粉症で一番大切なことは「予防」です。
花粉症を全く治してしまうには努力と時間を要しますが、薬で症状を軽くし、シーズンを乗り切ることはそう難しくありません。当院では下記のような様々な薬で対応しています。
1)ステロイド鼻用スプレー(フルチカゾン点鼻薬・タウナススプレー)
一日2回、鼻内に噴霧します。鼻汁がたまっているときは鼻をしっかりかんでからスプレーして下さい。少し臭いにおいがありますが、効果は強いです。鼻腔に吸入した後は一分間、頭を後方に下げて、薬が鼻腔の奥まで流れ込むようにしてください。
2)抗アレルギー点眼薬(ザジテン点眼薬・リボスチン点眼薬)
花粉との反応をブロックして効果が発揮されます。このため症状がおさまっても、一日4回の点眼を続けて下さい。やや刺激感がありますが、眼のかゆみが強い時にはこちらがよく効きます。
3)ステロイド点眼薬(フルオメソロン0.1%)
2)で効果がない時に処方します、かゆみや充血がひどいとき、一日数回点眼するとよく効きますが、副作用もあるため、安易に使わないようして下さい。先に水か洗眼薬などで目を洗ってから点眼すると効果は良く出ます。
4)ステロイド内服薬(セレスタミン)
たいへん効果があり、服用後30分以内で効いてきます。強力なので、かゆみや鼻づまりがひどい時に頓服として飲んで下さい。一回1錠で一日2回まで飲めますが、眠気やだるさが出ることもあり、当院では症状の強い時に処方しています。
5)抗アレルギー内服薬
・眠気が出ない:(ピナジオン・オノン・クラリチン・アレグラ・小青龍湯・タリオン)
・眠気が出ることもある:(アムゼント・ニポラジン・ジルテック)
ただし、これらの薬は飲み始めて二週間以上たたないと効果が現れてきません。ですから症状が出る前から飲み始めることが望ましいのです。そして花粉が飛んでいる間、スギ花粉症の場合なら少なくとも四月いっぱいは飲み続けて下さい。「その日の症状によって飲んだり飲まなかったり」が、いちばん効果のない、もったいない飲み方です。
6) 免疫許容量を高めて症状を軽減させる、非特異的減感作療法
これは一年前の秋ごろから開始しないと意味がありません。即効性と言う意味では辛いところです。また、人によって個人差が大きく、劇的に良くなる人も居れば、全く効果がなかったと言う方もおられ、ぶっちゃけ「やってみないと判らないけど、やってみる価値はある」という治療です。
7)持続型ステロイド筋肉注射
一回注射すればほぼ1シーズン花粉症の辛さから解放されるという夢のような注射です。これは長時間作用型のステロイド注射で、以前からごく一部の医師だけが使っていた方法ですが、ステロイドであることから、一般の耳鼻科や内科医は使用を躊躇していました。当然、副作用が問題になります。当院でも若い方や、妊娠前の女性への注射はお断りしています。
「たかが花粉症にこんな強い薬を使う必要はない」というのが日本アレルギー学会の見解で、実際に耳鼻科学会やアレルギー学会では禁忌とされています。しかし世の中には、「たかが」で済まされない方が大勢おられる事もまた事実です。春は地獄だ。毎年花粉の飛散量に戦々恐々としている…そういった方にとっては、「たかが花粉症」で済まされる問題ではありません。当院では、本当に苦しんでいる方の緊急避難方法として、この注射を、あくまで症例を選んで施術しています。 開院以来、毎年多くの方に注射していますが、注射部位が陥凹する副作用以外は経験していません。ちなみにその陥凹は完治するまでに1年3カ月かかりますので、当院では臀部部に注射するようにしています。