今年の花粉症予報
2013/03/27
ここ数年、連続してスギ花粉の飛散量は例年並みでしたが、今年は極めて深刻な状況です。例年ならもう2月第1週からスギ花粉の飛散が始まるのですが、今年は年末年始に冷え込んだため、飛散の時期も遅く、2月下旬になりました。それが何を意味するのか?遅くまでじっくり貯め込まれた花粉が、一気にドバーッと飛び始めたということです。予測では例年の6から7倍の飛散量が見込まれ、このコラムが出るころには、すでにかなりの人が花粉症で悩んでおられるのではないでしょうか?それ以上に、これまで発病していなかった方にも症状が出ているかもしれません。「私はこれまで大丈夫だったから」と安心している貴方!油断していると今ごろ大変な経験をしておられるかもしれませんね。
さて、最もオーソドックスな治療法は抗ヒスタミン剤の内服ですが、これは花粉が飛び始める2週間前から毎日薬を呑み続けることで、ようやく効果が出てきます。つまり、花粉が飛び始めてからでは遅い、と言うことですね。「アレグラ」や「アレジオン」、「クラリチン」、「タリオン」などに代表される第3世代の抗ヒスタミン剤、これは眠気も出ずよく効く薬ですが、本当の効果が出るまで2週間かかります。でも良い手があるのです。漢方の「小青竜湯」を抗ヒスタミン剤と一緒に呑んでおくと良いのです。「小青竜湯」は即効性がありますので、前述の抗ヒスタミン剤と一緒に2週間呑んでいれば、その間は小青竜湯が効果を発揮してくれて、抗ヒスタミン剤が本領を発揮する頃まで、それで凌いでおくという訳です。いちど試して下さい。漢方は即効性が無いと思われがちですが、小青竜湯は2、3、日で効いてくれます。また、もう一つ裏技。「ケナコルトA」という長時間作用型のステロイド注射による、持続療法があります。一度くらいはその噂を聞かれたこともあると思いますが、一回の筋肉注射でおよそ一ヶ月間、花粉症の辛さから解放されるという治療法です。当然、副作用もあります。特に多いのは注射した部位がペコッと凹んでしまうことです。これは1年ちょっとでキレイに元に戻るので、お尻に注射してその後よく揉んでおけばまず問題は無いのですが、日本耳鼻咽喉科学会や日本アレルギー学会では、このケナコルト注射を「望ましくない注射」としています。曰わく「たかが花粉症に使うには強力過ぎる薬だ」と言うものです。確かにその通り。「マッチポンプ」という言葉があります。マッチの火をポンプ車の水で消すという言うことで、「大袈裟な事」を意味する言葉ですが、私はひとこと言いたい。「たかが花粉症」とおっしゃいますが、この世には「たかが」で済まない人が大勢居るのです。「春は地獄だ」「毎年花粉の飛散量に戦々恐々としている」…そういった方にとっては、「たかが」で済まされる問題ではありません。当院では、本当に苦しんでいる方の緊急避難処置として、「ケナコルトA」の注射を、あくまで症例を選んで施術しています。毎年多くの方に注射していますが、注射部位が陥凹する以外の副作用は経験していません。この治療を行っている施設は少ないのですが、医師の厳重な管理と指導の下に行なえば、私個人の考えとしては「有り」だと思っています。