医療法人社団 甲南回生
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緊急!注意!インフルエンザ警報

緊急!注意!インフルエンザ警報

2013/05/10

中国からは毎日、新型鳥インフルエンザ(H7N9)の患者が続々と増えている、というニュースが伝わってきます。台湾でも確認されたとか。しかし私は、おそらく鳥インフルエンザは、すでに日本に入ってきていると考えて間違いないと思います。現に、学級閉鎖になっているクラスもたくさんあります。当院でもいまだに、一日5人から6人の患者さんをインフルエンザと確定診断しています。しかし、インフルエンザ特効薬の「ラピアクタ」を点滴することで、1日で、別人のように軽快します。おそらくそれらの患者さんの中には、鳥インフルエンザの方もおられたと考えて、なんら差し支えありません。現在認可されている、抗インフルエンザ薬「タミフル」「リレンザ」「イナビル」「ラピアクタ」の全てが新型鳥インフルエンザに有効である、との報告もすでに周知されています。
ですが今、実は他に大きな問題に私は悩まされています。それは「インフルエンザ簡易迅速検査キット」の取り扱いについてです。私が医者になった25年前には、タミフルもリレンザも、そして簡易検査キットもありませんでした。ではどうやってインフルエンザを診断していたか。実は患者さんの「顔つき」と「目つき」なんです。インフルエンザの患者さんは、表現は悪いですが、腐った魚のような目になります。顔はとくに頬が真っ赤になり、身体全体から精気が抜けてしまっているように見えます。後は、高熱だとか、体の節々の痛みとか、状況証拠はありますが、いちばん大切なのは「視診」でした。つまり、臨床症状から判断するしかなかったのです。そうやって今まで、医者になって以来、数千人以上のインフルエンザの患者さんを診てきています。自分自身が患者さんからうつされたことだってあります。ところが最近来る患者さんは、明らかに私の経験からしてインフルエンザなのですが、簡易検査キットでは陰性、と言う症例が多々見られるのです。そんな時、もちろん私は自分の「視診」「問診」を信じて、インフルエンザと判断し、ラピアクタを点滴します。そしてその患者さんは私の言う通り、その夜は熱が上がって、そうとう苦しい思いをしますが、翌朝になれば別人のようにスッキリと病状は治まります。
となれば、やはりインフルエンザだったことは明白です。しかし簡易検査で陽性は出なかった。4月ごろから、そんな例がたくさんみられるのです。これが何を意味しているのか。そう、鳥インフルエンザではないかと私は考えています。鳥インフルエンザはA型インフルエンザです。と言うより、鳥はA型インフルエンザにしか感染しないのです。B型にかかるのは、人と、あとはアシカだけ。誰が調べたか知りませんが、アシカはB型インフルエンザに感染するらしいです。ですので新型鳥インフルエンザ(H7N9)はA型インフルエンザなのですが、検査キットでA型陰性のインフルエンザの患者さんが、実際の臨床の現場では多くみられています。これらから導かれる答えはひとつ。すでに鳥インフルエンザ(H7N9)は日本でも猛威をふるっている、と言うことでしょう。前にも書きましたが、この(H7N9)は高病原性であっても、強毒性ではありません。人間がこれまで触れたことのないウイルスですから、このウイルスに対して人は免疫を持っていません。ですので感染力は強いのはあたり前です。ですので高感染性を持つと言う意味では、高病原性の範疇に入れられますが、決して人を殺したいウイルスではありません。子孫を残したい、つまり種の保存を臨んでいるウイルスです。ですから怖がる必要は何もないのです。ですが、困ったことに最近の風潮では、検査キットで陽性が出なければ、インフルエンザとしての治療を施さないのです。
どこから見ても、インフルエンザだというのに、インフルエンザは冬の病気だ、という固定観念に縛られている医師が、まだたくさん居るのです。もっと恐ろしいのは、検査キットなしではインフルエンザと判断できない若い医師がどんどん生まれてきているということです。簡易検査キットは本当に便利な診断用具です。しかし、便利になるのは良いことですが、不便な時代を乗り越えてきた者の言葉をばかにしてはいけません。われわれは医学生のころ、患者の痛みが分かる医者になれと、教官達から嫌と言うほど聞かされてきました。でもこの現状、もっとフレキシブルに考えなければ、本当の意味で患者の痛みが分かる医師とはいえないのではないでしょうか。

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