医療法人社団 甲南回生
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インフルエンザ予防接種について(2015~2016)

インフルエンザ予防接種について(2015~2016)

2015/11/19

本年よりインフルエンザワクチンの接種料金を値上げさせて頂くことにつきまして、ご理解をお願いいたします。すでに新聞などでご存知の方も居られると思いますが、インフルエンザワクチンは今季から、効果が高まるとして厚生労働省の決定で、含まれるウイルスのタイプが従来の3種類から4種類に増えました。

この変更により製造コストも上昇し、当院におきましても卸価格が、昨年に比べて50パーセントの値上げとなります。従いまして接種料金もこれにともない「1.5倍」となるところですが、当院では昨年の価格「1回目:2,500円、2回目:1,500円」を、本年より、「1回目:3,000円、2回目:2,000円」とさせて頂くこととなりました。

原価は1.5倍になりましたが、元来インフルエンザワクチンは任意接種で、自費診療となります。その金額の中には注射手技料、問診料なども含まれており、それらを調整することで、今季はなんとか昨年より500円増しの20パーセント値上げで皆様にご提供できることとなりました。大変申し訳ありませんが、以上のような理由で今季からのワクチン接種料金の値上げに、何卒ご理解とご協力をお願いいたします。

摂取回数ですが、これについては何度もお伝えしているとおり、老若男女関わらず、受けるなら二回、受けて下さい。二回受けて頂きたいから、それだけのために、私は金額を安くしているのです。受けないなら受けない。受けるなら必ず二回。一回だけ受けると言うのが一番中途半端で、もったいないお金の使い方です。

ここからは興味のある方だけお読み下さい。なぜ一回ではなく二回なのか、詳しくご説明します。インフルエンザ・ワクチンは一回受けた場合の抗体獲得率が70%、二回受けるとこれが87%となります。平たく言えば、一回受けても十人中七人は抗体ができるけど、二回受ければ、それが十人中九人になるという、確率論なのです。また一つのワクチンには三種類のインフルエンザのウイルス株を入れることができますが4種類以上は入れることができません。

しかし例年、流行すると予想されるインフルエンザのウイルス株は5種類以上と予想されています。つまり二回ワクチンを受けても、予防できるのは4種類のみ、残り2種類のウイルスに対しては無防備です。また一度かかったからと言っても、抗体が残るのは長くて半年。私のように毎日20人近いインフルエンザの患者さんを診察するのでは、87%でも足りません。ですから私は毎年三回、自分でワクチンを注射します。それでも99%です。

今、世界中で人に感染すると判っているインフルエンザ・ウイルスは、百数十種類以上にのぼります。この中で4種類を予想するのは世界保健機構(WHO)で、今夏の南半球での流行や、前冬に世界中で採取したデータを元に決定します。この十数年、一度も外れたことがないほど正確な予測だったのですが、実は昨年のA香港型(H3N2)が外れてしまいました。ウイルスの持つDNAのごく一部に変異があった、ただそれだけのことで2014年は11月頃から大流行になってしまいましたが、これは例外だったと言えます。インフルエンザだって生き物です。ワクチンに耐性を持ち、自らの形態を変異させながら、生き残ろうと必死です。まさに「イタチごっこ」と言っても良いかもしれません。そして今年も5種類が流行りそうな気配が濃厚です。もし今年、ワクチンでカバーしきれないウイルスが大流行でもすれば、私もひとたまりもないでしょう。

以上のワクチンによる抗体獲得率と抗体持続期間が長くて5ヶ月程度である点、昨年は例外的に早く流行しましたがここ数年の流行は年々遅くなっているという状況から考えて、当院では、2015年は、一回目の接種は11月前半、二回目は12月後半、が最も有効という結論に達しました。
もちろん時機を逸する方もおられると思いますが、インフルエンザはもはや冬だけの季節病ではなく、一年を通じて流行する感染症です。いつ始めても構いませんから、もし今日を一回目とするなら、だいたい45日から60日の間隔を空けて、二回目を受けて頂くことを強くお奨めします

当院では、注射したその日でも「お風呂」も「お酒」もOK!
注射部位は左腕(利き手の逆)できるだけ上で背中側
注射後10分間はしっかり揉んで下さい。

と、ご説明しています。厚生労働省が発行している「インフルエンザワクチン接種のガイドライン」という小冊子があります。ガイドラインにはまず針を刺し、シリンジを少し引いてが逆血がないことを確かめてから、ゆっくり注射する、とあります。そんなことしたら痛くて怖いだけです。インフルエンザワクチンには少量のホルマリン、水銀系の防腐剤であるチメロサール、緩衝剤であるポリソルベートが、わずかですが含有されており、pHは6.8から8.0、つまり、けっこうアルカリ性です。ゆっくり注射したら大人でも痛いものです。

ですので、上膊部背側の脂肪組織(分かりやすく言えば二の腕のフリソデの脂肪でタルタルになってる部分です)に注射すれば、そのあたりには毛細血管しかないので、まず針先が太い血管内に入ることはありません。

針を刺してからゆっくりシリンジを引いて逆血を確かめて…などとしている間に子供は泣き出します。そこへ持って来てゆっくり薬液を注入されたら、泣き出すに決まってます。
さらに私は、値段は張りますが、インスリン注射用の「FNシリンジ29ゲージ針付き」というのを使っています。針が注射筒に埋め込まれていますので、少々力を入れてシリンジを押しても、針先が外れたり、液が周りに飛び散ることもありません。

プスリと刺すと同時に、一瞬で薬液を注入してサッと針を抜きます。同時に左手に用意した注射パッド(1センチ角ほどの小さな絆創膏)を貼ります。その間、ほとんど一瞬です。
まず痛くありません。さらに二の腕でも、できる限り体幹に近い、すなわち上の方まで袖をまくり上げてもらいます。その方が知覚神経の分布が疎ですから、痛みはより少ないのです。大人でしたらいつの間に注射されたのかすら分からない人も居ます。そのくらい素早く射ちます。

オムツも取れてないくらいの小さいお子さんはお尻に射ちます。注射するワクチンの量も半分の0.25ccですので、注射が終わっても何をされたか判らずにキョトンとしています。痛くない注射のいちばんのコツはスピードですが、注射薬のpH値、酸性かアルカリ性かも判っていることが
大事です。中性の薬剤の時はむしろゆっくり入れた方が痛みません。

さて注射した部位は後で揉むのか揉まないのか、これは実は日本小児科学会でも、統一見解はありません。接種医師の裁量に任されているというのが実情です。教科書的に言えば、「注射の基本は筋肉注射は揉む。皮下注射は揉まない」となりますが、インフルエンザワクチンを接種した後、揉んではいけないという説の根拠は、「強く揉んで毛細血管が破れて一気に薬液が血中内に移行した際にショックを起こすことがあり得る」というものです。しかし、私の注射する部位は二の腕、それもとくに毛細血管も少ない脂肪組織ですので、ガイドラインにある、「ショックを起こすことがある得る」確率は、おそらく十万回にひとり程度と想定しています。

それよりも、注射のあとを揉まないと、インフルエンザワクチンの場合、翌日、薬液が皮下でシコリになり、重だるい痛みを感じる場合が圧倒的に多いのは事実です。そこで結局、軽く揉んで下さい、というのが通例となっているようですが、私はしっかり、家に帰るまで揉んで下さいと言います。翌日痛くならないために、なのです。事実、良く揉めば揉むほど、翌日の注射部位の痛みは軽減します。

もちろんこれはガイドライン通りではありません。ですがガイドラインはあくまでガイドラインで「法律」ではありません。私のクリニックでは、なぜ二回射った方が良いのか、なぜ揉んだ方が良いのか、ここにご紹介したようなことをパンフレットとして患者さんにお渡ししています。あくまでガイドラインはこうだけど、過去二万件以上のワクチン接種の経験から私はこうしている、と文章にしたパンフレットをお渡ししています。

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