医療法人社団 甲南回生
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子宮頸癌予防ワクチンについて2

子宮頸癌予防ワクチンについて2

2013/06/26

さらに「ガーダシル」については、効果への疑問や有害副作用への懸念の声がさらに多く発信されています。世界各国で重大な異常症状が発生しているにも関わらず、ワクチン接種による利益(ベネフィット)のほうが危険(リスク)を上回る、との見解を米国疾病対策センターは示しています。しかし、私はガーダシルに対して疑問を持つ多くの医師の一人です。ガーダシルとサーバリックスはまったく同じものではありません。ガーダシルは6型・11型・16型・18型のHPV感染予防に有効とされています。このデータは参考に値するものですが、その効果を添付文書にある通り正確に読めば読むほど、子宮頸癌の最善の予防策がワクチンではないことが明らかになります。子宮頸癌発症の最大の原因は「病原性HPVウイルスの持続性感染」であって、大半のHPVが子宮頸癌となる病原性をもたないことが判明しています。すなわちHPVに感染しても、多くの場合は免疫力によってHPVが体内から排除され、大半は2年以内に自然消失するのです。約10%の人で感染が長期化(持続感染化)し、子宮頸癌への進行がみられます。HPVワクチンは、既にHPVに曝露している女性からHPVを除去するのには全く役立たないと、これは添付文書にはっきり書いてあるのです。

以上から言えることは、予防ワクチンは、HPVにまったく曝露していない、性的活動未経験者および免疫力によってHPVが体内から排除されたノン・キャリアでなければ接種する意味がなく、しかも予防効果の持続期間は確立していないということです。さらに恐ろしいことに、HPVキャリアである女性に接種した場合、逆に持続感染を助長しかねず、前駆病変を進行させる危険性が生じることにすらなりかねません。

日本の子宮頸癌に多い高危険型のHPVに対して効果がなく、しかも性的活動未経験者および免疫力によってHPVが体内から排除された者でなければ接種する意味もなく、効果期間すら判らない、まだエビデンスの確立されていないワクチンをあえて接種せずとも、性活動によって子宮頸癌が心配な方は、細胞診とHPV検査の併用による検診を定期的に受けることで十分に対応できます。この方法でほぼ確実に前駆病変と子宮頸癌は発見することができ、発見された場合は外科的治療でほぼ100%完治します。予防ワクチン(と称するもの)の集団接種は、逆に少女たちを接種のリスクにさらすだけで、わざわざ推奨するような問題ではないのです。
それでは結論と参りましょう。現在、日本で接種できる子宮頸癌予防ワクチン、サーバリックスとガーダシル。さて、接種したほうが良いのでしょうか?そしてもし受けるなら、どちらがいいんでしょうか? 私の見解は以下の通りです。
サーバリックスはヒトパピローマウイルス(HPV)の16型と18型の予防ワクチンで、子宮頸癌を予防します。一方のガーダシルはHPV16型18型だけではなく、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型も予防します。つまり、サーバリックスは子宮頸癌専門のワクチンで、ガーダシルは子宮頸癌と尖圭コンジローマの両方を予防するワクチンです。
また、サーバリックスはワクチンを接種したときに免疫に認識されやすくするためのアジュバント(補助剤とお考え下さい)の性能が優れているため、接種するとき少し痛いことと,接種した後に数日間すこしボーッとしたとおっしゃる方が居られる反面、抗体価は二十年以上持続すると言われています。当院で接種した方々からは痛かったということは聞いておりますが、幸いそれ以外の副作用は見られませんでした。
一方、ガーダシルはアジュバントを弱くしてあるようで,サーバリックスに比べると接種時の痛みが少ないようです。しかし、接種後約5年で抗体が検出限界以下になってしまうので、いつまで予防効果があるのか今のところ全く不明です。ハイリスク型HPVが感染してから子宮頸癌に発展するには十年から二十年かかるので、抗体価はできるだけ長く持続した方がいいのは当たり前です。その意味で、子宮頸癌の予防効果に限って言えば、現時点ではサーバリックスの方が優れていると言わざるを得ません。

次回に続く

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