医療法人社団 甲南回生
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今年はどうやら「チャドクガ」の当たり年のようです

今年はどうやら「チャドクガ」の当たり年のようです

2013/07/11

今年はどうやら「チャドクガ」の当たり年のようです。当院でもすで に多くの患者さんがコレにやられて来院されています。さて、では 「チャドクガ」ってなんでしょうか? 要は「毛虫」なんですね。でも コレがタチが悪いのです。 学命は「Euproctis pseudoconspersa」という、ドクガ科に属 します。本州以南の日本各地に分布。名前のとおりチャ(緑茶、紅茶、 ウーロン茶、すべてツバキ科のカメリア・ジネンシスという木です)の 害虫として知られていますが、同じツバキ科のツバキやサザンカでもよ く大発生します。 この毛虫の発生が庭木としてのツバキやサザ ンカの最大の欠点とすらいえるほど、近年都市部でもっとも問題の大き い毛虫です。最近訪れる患者さんの傾向を見ていると、今年はどうも当 たり年みたいです。

幼虫は生育の全期間を通じて集団で生活し、成長すると体長が 25mmほどになります。ツバキやサザンカの葉に毛虫が群がっていた ら、 まずこの毛虫と考えて間違いありません。人を刺すのは目 立って長い毛ではなく、からだ中に50万本もある微細な「毒針 毛」と呼ばれる細かいトゲです。 毒針毛は幼虫が脱いだ皮(脱 皮殻)にも長い間残りますので、冬に樹を剪定しても刺されることがあ ります。年2回発生し、葉の裏に生みつけられた卵塊(黄色の毛玉状)で越冬 し、幼虫は5月のゴールデンウイークのころの孵化します。 幼 虫は頭を並べて集団で葉を食べますが、冬のうちにたんねんに卵塊をさ がして除去したり、幼虫のまだ小さいうちに葉を切り取って踏みつぶす のが家庭では効果的な防除法です。 幼虫が大きくなると集団が いくつにも分かれ、被害が樹全体に及び、除去は危険です。ただし、た いていの家庭用殺虫剤は、ほとんどの庭の毛虫に効果がありま す。 6~7月ころに成虫が羽化して、また産卵し、 8~9月に2回目の幼虫が発生します。それが成長して9~10月に羽化した2回目の成虫が生んだ卵が越冬します。

幼虫がサナギになるとその表面やマユに毒針毛がベタベタついていま すし、雌成虫は羽化すると腹の先に毒針毛をまとめてつけて飛びた ち、 それを卵塊になすりつけます。このためチャドクガは、幼 虫ばかりでなく脱皮殻やサナギや成虫や、卵まで人を刺します。写真の ように、2cmくらいの大きさで、 翅の先に2個の小さい 黒点のある黄色っぽいガが家の中に飛んできたら注意して下さい。絶対 に直接さわらずにびんなどで捕らえるようにします。

チャドクガの毒性は次のドクガよりはやや弱いものの、刺されるとい つまでも激しいかゆみが残り、それが2~3週間も続きます。ま た、 刺されたときの痛みはほとんどなく、あとからヒリヒリし た痛みと強いかゆみでそれとわかるのでやっかいです。この毛虫に刺さ れたとわかったときは、 その場所にセロハンテープを貼って毒 針毛を取り、そのあと長く流水で洗い流すのがよく、手でこすったり掻 いたりするのは最悪です。
当院での治療は、まず3日間の点滴、一週間の飲み薬と塗り薬、そし て一ヶ月後にもう一度見せていただいています。いったん症状が引いて も、一ヶ月して、また、全身にじんましんが出たり、微熱が続いたリと いうことがあるからです。何度も刺されることでアレルギー症状を起こ し、 全身に症状が見られることがあるのです。

数年前、私の自宅のサザンカにも大量発生したことがあります。慌て てプロの庭師を呼んだのですが、数メートル離れたところから殺虫剤を 振りかけて、それで終わり。近づくと飛散している毒針毛にやられるこ とを知っているからです。「あとは梅雨の雨が毛虫の死骸を洗い流して くれるのを待って下さい。それまで庭には出ないようにネ」ですよ。プ ロでさえ近付きたがらない毛虫。皆さんもよくよく注意して下さい。

※次回は、前回の子宮頸癌予防ワクチンについて<3>が掲載予定です。

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